| なぜeスポーツは五輪から拒否され、「SASUKE」は残ったのか …2026年5月、IOCのeスポーツ専門委員会が活動を休止した。「一区切りだ」。関係者のそのコメントで、10年にわたる議論は幕を閉じた。SNSでは歓迎… (出典:木曽崇) |
| eスポーツ(イースポーツ、英: esports)は、エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略称、および、コンピュータゲーム(ビデオゲーム)を使った対戦を競技として捉えた名称。広義では、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す。… 168キロバイト (21,837 語) - 2026年5月11日 (月) 03:18 |
| 筋肉番付シリーズ (カテゴリ SASUKE) 壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦』(さいきょうのおとこはだれだ!そうぜつきんにくバトル!!スポーツマンナンバーワンけっていせん)、『SASUKE』(サスケ)、『KUNOICHI』(クノイチ)については各記事を参照のこと。また、関連企画の『筋肉ミュージカル』についても詳細は単独記事を参照のこと。… 101キロバイト (15,095 語) - 2026年5月10日 (日) 03:05 |
2026年5月、IOC(国際オリンピック委員会)のeスポーツ専門委員会が活動を休止したことが報じられ、長年続いてきた「eスポーツ五輪採用論」が大きな転換点を迎えた。
世界的な人気を誇るeスポーツが、なぜオリンピック正式競技への道を進めなかったのか。一方で、近年は身体能力を競うコンテンツとして「SASUKE」型競技への注目が高まり、その違いにも関心が集まっている。
SNS上では「やはり五輪とは合わなかった」「競技運営の仕組みが違いすぎる」といった声も広がっており、改めて“スポーツとは何か”を考える議論が起きている。
eスポーツが五輪競技として難しいとされた背景には、「競技そのものを誰が管理しているのか」という問題がある。
サッカーや陸上競技などの五輪種目は、国際競技連盟がルールや大会運営を統括している。一方、eスポーツはゲームタイトルごとに運営企業が存在し、競技ルールや大会方針、サービス継続そのものまで企業判断に左右される。
例えば、人気タイトルであってもサービス終了となれば競技自体が消滅する可能性がある。こうした“IP依存型”の構造は、長期的な競技継続を重視するオリンピックとは相性が難しいと指摘されてきた。
さらに、ゲームによっては暴力表現や年齢制限の問題もあり、世界共通のスポーツ文化として扱うには課題が残っていた。
今回、比較対象として名前が挙がったのが「SASUKE」型競技だ。
SASUKEはテレビ番組発祥ではあるものの、競技内容は「身体能力」「持久力」「バランス感覚」といった普遍的な運動能力が中心となる。競技ルールも主催側が一元管理しており、特定企業のゲームIPに依存していない。
この違いは大きい。
| 比較項目 | eスポーツ | SASUKE型競技 |
|---|---|---|
| 競技管理 | ゲーム企業主体 | 主催団体主体 |
| 継続性 | タイトル終了リスクあり | 継続しやすい |
| ルール変更 | 企業判断で変更可能 | 統一運営が可能 |
| 身体性 | タイトルごとに差 | 明確な身体競技 |
| 権利問題 | IP依存 | 比較的少ない |
もちろん、eスポーツにも高い戦略性や瞬時の判断力が求められ、世界中に多くのファンを持つ文化であることは間違いない。
ただ、オリンピックが重視する「競技の恒久性」「統一ルール」「国際的ガバナンス」との違いが、今回の判断に大きく影響したとみられている。
ネット上では、
- 「eスポーツはスポーツとして独自路線を進むべき」
- 「五輪に合わせる必要はない」
- 「企業主導だと五輪競技は難しい」
- 「逆にSASUKEのほうが五輪向きかもしれない」
といった声が相次いでいる。
一方で、「時代遅れでは」「若年層人気を逃す」とIOC側への疑問もあり、世代間によるスポーツ観の違いも浮き彫りになっている。
eスポーツ市場は世界的に拡大を続けており、競技人口や観戦文化は今後も成長が予想される。一方で、オリンピックは伝統的な国際スポーツ大会としての価値観を重視している。
今回の議論は、「どちらが優れているか」という単純な話ではなく、“競技をどう運営し、どう継続していくか”というガバナンスの違いを浮き彫りにしたとも言えそうだ。
eスポーツが独自の国際競技文化として発展していくのか、それとも今後再び五輪との接点を模索するのか。スポーツの定義そのものが変化する時代の中で、今後の動向にも注目が集まりそうだ。
なぜeスポーツは五輪から拒否され、「SASUKE」は残ったのか
2026年5月、IOCのeスポーツ専門委員会が活動を休止した。「一区切りだ」。関係者のそのコメントで、10年にわたる議論は幕を閉じた。
SNSでは歓迎する声が目立った。「真っ当な判断」「ゲームであってスポーツではない」。その反応はわかる。だが実のところ、問題の核心はそこにはない。
同じ頃、IOCはTBSのテレビ番組「SASUKE」をLA2028の五輪種目に迎え入れることを決めていた。
世界に何十億ものプレイヤーを抱えるゲーム産業が門前払いを受ける一方で、民間放送局の番組コンテンツが五輪に入った。「スポーツかゲームか」という問いでは、この非対称が説明できない。
IOCがeスポーツを正式議題に上げたのは2017年のことだ。若年層のとりこみ、商業的ポテンシャル——IOCには明確な動機があった。しかし同時に、変えようのない原則もあった。
「ルールをイチ私企業が支配しているゲームは公正とは言えない。そういうゲームをオリンピック公式競技にはできない」
IOCのモデルでは、競技のルールは国際競技連盟(IF)が管理する。FIFAがサッカーを、World Athleticsが陸上競技を統括するように、どの競技でも民間企業が介入できない統治構造が前提にある。
eスポーツはそこに噛み合わない。League of LegendsはRiot Gamesの製品だ。ルールをRiotが決め、バランス調整は競技の公正性ではなく新キャラクターの販売や顧客維持のために行われる。サービスを終了すれば競技ごと消滅する。
どれほど立派な国際連盟を設立しても、ゲームのソフトウェアを握っているのは民間企業だ。競技の統治権は第三者に渡らない。
この問題は2017年に議論が始まった時点で、すでに答えが出ていた。
形式で乗り越えようとした10年
議論の過程で、暴力コンテンツやジェンダー平等の問題も浮上した。これらは工夫次第で対処できる話だ。ガバナンスの問題はそうでなかった。
IOCが選んだのは「分離」という路線だった。五輪本体への統合をあきらめ、オリンピックブランドを冠した独自大会を作る。2021年のオリンピック・バーチャルシリーズ、2023年のシンガポール大会、2024年に全会一致で承認された「オリンピックeスポーツゲームズ」も、すべてその延長線上にある。
タイトル選定も同じ発想から来ていた。シンガポール大会の10タイトルはグランツーリスモ7(モータースポーツ)、WBSCパワプロ(野球)、Zwift(自転車)など、既存の五輪競技のルールに準拠したゲームに絞られた。
野球ならWBSC、自転車ならUCIがそのルールを統括しており、ゲームがそれに従う形をとれば「IFがガバナンスを持つ」という体裁を作れる。ソフトウェアの実効支配はパブリッシャーのままだが、競技規則の上位にIFを置くことでガバナンス問題を形式上クリアしようとした。
eスポーツコミュニティはこれを「本物のeスポーツではない」と一蹴した。視聴者数は低迷した。形式を整えることで乗り越えようとした壁は、産業の支持を失うという別の壁を生んだ。
2025年10月、サウジアラビアとのパートナーシップが解消された。IOCが拒否したCounter-StrikeやLeague of Legendsをサウジ側が求め、折り合いがつかなかったとされる。最後の最後で、同じ問題が顔を出した。翌2026年1月、コベントリー新会長が委員会の見直しを宣言し、5月に正式休止となった。
この結末を最もよく照らし出すのが、SASUKE採用との対比だ。
SASUKEも元はTBSの商業コンテンツだ。「Ninja Warrior」として世界100カ国以上にフォーマット輸出され、アメリカでは「American Ninja Warrior」として長寿番組に成長した。
番組セットからロゴ、出演者の選定まで、すべてをTBSがコントロールしてきた純粋な民間IPだ。民間企業がIPを持つという出発点は、eスポーツと変わらない。それがなぜ五輪に入れたのか。
国際近代五種連盟(UIPM)とTBSが辿り着いた構造は、競技のガバナンスをUIPMというIFに委ね、TBSは放送コンテンツとしての事業を手元に残すというものだった。「SASUKEというテレビ番組で商売すること」と「障害物競技のルールをIFに管理させること」を切り分けることができた。
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